昭和は遠くなりにけり

港街から日々のよしなしごとを淡々と

フリップ&イーノ

10年ほど前、オーディオ装置一式と一緒にLP数百枚も売ってしまい、その時フリップ&イーノの「ノー・プッシーフッティング(No Pussyfotting)」と「イヴニング・スター(Evning Star)」も手放してしまった。

が、最近にわかにクラシック側から現代音楽を追いかけ始めたこともあり、再度CDで入手。

このアルバムは1曲目(というかLPだとA面全部)の「The Heavenly Music Corporation」に尽きる。環境音楽だから聴き流していいよね、とか、ボーッと聴いていて気持ち良くなりたい、といった態度を聴き手に許さない緊張感が支配する20分間。

曲のエンディングで、飛行機が墜落するかのようなギターの歪んだ音が執拗に繰り返されるのを聴いていると、どんどん不安な気持ちなってきて、どこがヘヴンリーやねん、と関西弁でツッコミたくなる。

テリー・ライリーの「レインボー・イン・カーヴドエア(A Rainbow in Curved Air)」の影響は明らかだけれど、「レインボ〜」は正直、歴史的な意義は分かるけれど、今聴くとそんなに凄いという感じではないし、なんだか懐かしいゲーム音楽っぽさもあったりするが、フリップ&イーノになると、さすがに新しい!とは思わないが、今でも十分聴きごたえがある。(若者たちの耳にどう聴こえるのかは知らないが)

「レインボー〜」が1969年、「ノー・プッシー〜」が1973年11月の発売だから、この3年ほどの間に、ロック側がミニマルミュージックを十分に咀嚼したということか。

いずれにしてもこの時期、クラシック(現代音楽)とポップミュージックがギリギリまで接近していたことが体感できる。「レインボー〜」の2曲目(LPならB面全部)の「Poppy Nogood」なんかは、同時期のマイルスっぽさを凄く感じる。

 

こうやってポツポツとCDを集めながら、自分が聴いてきた音楽を振り返って、気づきがあったりなかったりするのが最近の楽しみ。もう今のシーンを追いかけるような気力も時間もないので、若手社員から「今は夜遊び系が流行ってるんですよー」とかドヤ顔で言われても、そうなんだー、と素直に目を丸くするのが大事。

ちなみに、Amazonで「ノー・プッシーフッティング」とカタカナで検索すると、

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 と聞かれる。

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今どきの若者には不適切な音楽、ということだな、きっと。